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Vol.0011 「NZ・金融編」 〜通貨のスーパー12〜

ニュージーランド・ドル高ですね。昨年8月以来、約8ヵ月ぶり高だそうです。12日には1NZjが44.45米kまで上昇しました。ニュージーランドはオーストラリアとの経済的結びつきが強いので、キウイはオーストラリア・ドルに連動する傾向が強いのですが、今年に入ってからの上昇率はオーストラリア・ドルの5%を抜く6%台と、南アフリカのランドと並んで世界主要通貨の中では最高位です。

自国通貨高というのは国内にいると特に実感もなく、あまり有難みも湧かないことでしょう。しかし、外から見ると比較的景気が良くて(日本の場合は各種の要因から景気が悪くても円高という歪んだ状態が度々起きますが)、そこそこ金利が高くて魅力的に映るものです。金利が高いということは借金する身には辛いですが、預金する立場であればより高い金利を受け取れるわけですから結構なことです。通貨高はその通貨へ人気のバロメーターとも言えましょう。日本はもちろん、ここ香港でも今はほとんどゼロ金利状態で預金金利はとっくに1%を下回っています。だからキウイの強さと金利は眩しく見えます。

しかし、キウイ、オージー、ランドと今年に入って世界的に突出して強い通貨はすべて南半球諸国の通貨で、これら3ヶ国はラグビーの世界最強リーグ、「スーパー12」開催国ではないですか!う〜ん、通貨の「スーパー12」かぁ・・・・。ちなみに今年に入ってからのユーロと円は多少の高下はありましたが現在のところ昨年末から全く変わっていません。南半球は資源国が多いので経済の基本で言えば、「世界的な景気回復期待が高まる中、原油を始めとする資源需要の回復が見込まれていることでの通貨高」と説明がつき、通常の景気サイクルの一環ということで落ち着きます。

しかし全くの私見ですが、「ひょっとしたら南半球という世界の桧舞台でほとんど脚光を浴びたことのない地域での新しい価値観の創造が始まっているのではないか」ということを密かに考えています。アメリカを中心としたグローバル化の波が20世紀内に世界の主要国の隅々にまで行き渡り、共産党政権の中国でさえも「グローバル化」を唱える中、その限界や構造疲労も顕在化してきています。それの端的な例が97年以降のアジア金融危機で、ロシアも際どい思いをしました。最近では米国自身でも名門企業の破たんが相次ぐなど、きしみが出てきています。

世界に新しい価値観を教える師であった米国の後を第二の勢力が埋めていけるのであれば、世界がそれになびく可能性もあるでしょうが、実質ナンバー2のヨーロッパは多数の文化と政権の複合体で、世界の覇者になることよりも地域内での調和を優先させているところです。それに、ことのほか個を重んじる彼らの文化的背景からいっても世界的に「ヨーロッパ式」(そういう共通したものさえないわけですが)を普及させていくことを目指す可能性はかなり低いように思います。

ではどこが世界の覇者なのか?それがアメリカであることには変わりはなく、急速に台頭してきている中国が影響力を強めてくることは間違いないでしょう。でもそれとは別に、それぞれの経済、地域、文化、宗教等によるブロック分けが進むという、新しい傾向が強まるのではないかと漠然と考えています。これはあまりに進んだアメリカ主導のグローバル化への若干の軌道修正という意味合いです。世界を共通のルールで結ぶグローバル化そのものはもう後戻りができないことでしょう。その端的な例がインターネットです。一度手にしてしまった瞬時に地球の隅々を結ぶこの情報伝達手段を人類が手放すわけはありません。

こうしたブロックの一つとして「南半球」という、非常にゆるいつながりの中で新たな価値が生まれてくるような気がしています。「スーパー12」も南アフリカがアパルトヘイトを廃止して世界に認められてから実現した新しいものです。こうした結びつきがもっと増えていくことは考えられないことではないでしょう。3ヶ国がより近づいても目に見える経済効果はないかもしれませんが、経済的効率性の追求のためだけに結びついていくのではないことも、これからの新しいテーマになってくるのではないかと考えています。

比較的新しい3ヶ国が先住民とそれぞれの方法での折り合いを模索しながら独立国としやってきた経験は、内戦が頻発する周辺国への力になるかもしれません。単純に気候が同じっていうのもいいじゃないですか。地球温暖化への取り組みで何か共通の課題が見えてこないとも限りません。南極を上にした世界地図というのを見たことがあります。その時は本来北半球がある上の方がずい分スカスカで頼りなく見えました。でも今では、「そんな考え方があってもいいよな〜」という気がしてきています。

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「マヨネーズ」  今回はちょっと堅い内容になってしまいましたが、NZに魅かれる理由の一つに、壮大な夢を見せてくれる大きな潜在性があります。現在の価値観でいけば、NZは先進国の中ではお世辞にも経済規模が大きいとは言えないし、金融市場が世界で一番最初に開くのに、それがその日の世界の相場を左右したという話も聞いたことがありません。でも、もしもこうした価値観が変わっていったとしたら? 今のところは自分一人で見ている白昼夢ですが、何だかとっても可能性を感じます。

西蘭家は「移住しよう!」と決めた去年から、早々とニュージーランド・ドルを買い始めてしまったので今のドル高でもやっと買値を上回ってきたかな?というところですが、香港ドルで預金していたよりは若干利回りが良かったはずです。いずれにしても金額が金額だから、どうでもいいような差額なんですが…。ニュージーランド・ドル建て債券のキウイ債ではカナダ政府発行のものを買ってみました。利回りが6%以上あるし、ニュージーランド・ドル高傾向で、ちょっと楽しみにしてます。

西蘭みこと

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