Vol.0042 「生活編」 〜息子の背中〜 私は32歳の誕生日に長男、温(おん)を出産しました。当然ですが二人の誕生日は同じで、彼の誕生は私にとって人生最高のバースデーギフトとなりました。そして、どう説明したらいいものかわかりませんが、その出産を機に私の成長が完全に止まってしまったのです。もちろん毎年誕生日が来て温と一緒に祝っていますが、私の中で年を重ねている実感がなく、上昇志向のようなものがきれいさっぱりなくなってしまいました。 それから数年たって次男、善(ぜん)が生まれ、彼が3歳になって幼稚園通いが始まると、少し状況が変わってきました。子供が自分たちの時間を持つようになるに連れ、自分自身の時間が戻ってきたのです。上昇志向がなくなった分、水平志向が強くなり、横へ横へと自分の興味の赴くままに視野が広がっていきました。2000年にビーズ・アクセサリーに出会い、その1年後の2001年のニュージーランド再訪で人生の後半の方向性が一瞬にして決まりました。アクセのお陰でもともと手作りするのが好きだったことを改めて自覚し、ガラス細工を手始めに、最近では念願だったタイルモザイクも始めました。それでも陶芸、組み紐、レース編み、ステンシルと、やってみたいことは目白押しです。 温は私と同じ誕生日にこの世に生を受けて以降、母親の分までスクスクと竹のように成長しています。いつの間にか膝にも乗らなくなり(35キロもあるからムリですが)、今年から大人のカジュアル服を着せることにし、子供服とは完全にサヨナラしました。「二人で着よう!」とニュージーランド行きの前には一緒にダウンジャケットを買いにも行きました。(今年の滞在は1月だったのにクライストチャーチでは9度なんて日がありました) 先日、夕食前にジョギングに行こうとすると「ボクも行きたい。」と着いて来ました。歩いて5分の近所の競馬場に一周1キロのジョギング・トラックがあるので、二人で走り始めると200メートルもしないうちに「ママ、お腹痛くなりそう。」と言って立ち止まってしまいました。子供なので長い距離を走ることに慣れておらず、呼吸と足が合っていないのです。それが隣にいてよくわかったので、一応、足の動きに合わせて息を吸って吐いて・・・と教えてみたものの、「ちょっと休む。」というので、「じゃ、先に行ってすぐ戻ってくるからね。ここで待ってて。」と言い残しその場を去りました。 一周走って同じ場所に来てみると姿が見えませんでした。「あれ?走り始めたんだろうか?」と思い、彼を探しながらもう一周走ってみましたが見つかりません。「暗くなってきて一人で帰ったんだろう」と思いながらもしばらく待ってみましたが、同じジョガーが2周してくるほど経っても来なかったのでひとまず家へ戻りました。ところが彼は家にもいなかったのです!慌てて外に飛び出し、いくら日の長い夏とはいえ、もうとっぷり暮れてしまった夜の中を競馬場に向かって駆け出しました。大きくなったといっても彼はまだ8歳・・・。 その時、坂の下の方から白いTシャツが闇に浮かび上がるように誰かが上ってくるのが見えました。「温だ!」走り寄ると、ニコニコしながら軽く手を挙げ「やっぱり、ママ帰っちゃったんだ〜」と言うではありませんか?「どうしたの。探してたのよ!」と言うと、「走ってたんだよ。ボクだってママのこと探したよ。」「走ってた?」「うん。3周走ったよ」「!!!!」。 息子は歩いたり走ったりしながら、私の姿を探しつつトラックを3周したんだそうです。計3キロ!中央に電光掲示板や植え込みがある上にこの闇。お互い見失ってしまったようです。彼の快挙に思わず抱きしめ「すごいじゃない!やったね!」と興奮気味に言うと、本人は初めてそんな距離を走ったにもかかわらず至って淡々としたもので、「水泳のウォーミングアップでプールを8往復させられる方がもっと大変だよ。」と謙遜でもなくケロリ。 子供に対して、ついつい私の口をついて出てしまうのは「一人でできる?」「大丈夫?」という転ばぬ先の杖的なことばかり。親だから心配して当然ですが、本人の能力を信じていないことの表れでもあります。でも息子は成長しない私の分まで日々成長しており、昨日できなかったことが今日はできるという日進月歩の変化を遂げているのです。そう遠くないうちに息子の背中を見ながら走る日が来るのでしょう、「ママ、大丈夫?ボク先に行ってるからね」と言われながら・・・。 *********************************************************************************** 「マヨネーズ」 バリで何年ぶりかでビキニを着ました。夫と知り合った90年代はハイレグ全盛期。最近は日焼け怖さで水着になることもなかったので、ブームがビキニに変わってからもすっかりご無沙汰でした(確か善が生まれた年、子供プールにお風呂状態で漬かってたのが最後だったはず)。着てはみたもののお腹の周りのゆとり(!?)がかわいくなく、旅行前の走りこみで(まさに競馬場のジョギングはソレ)、急きょ1.5キロ落として臨みました。ビキニ再デビュー後はもう1キロ落としてからの"へそピアス"が目標です。 しかし、たかが1キロされど1キロ。生活習慣を変えずに落とすにはここからが難関で、旅行前後1ヶ月以上にわたって膠着状態。かなり日に焼けたので少し締って見えなくもないのですが、それが気のせいなのは本人が一番自覚しているところ。う〜〜ん、どうするか。そんな時、久し振りに髪を切りに行ったら9年越しでお世話になっている美容師さんが、とっても色白で血色良く、ほっそりと見えるではないですか・・・。秘訣を聞いてみたらその名も「健康」という名の健康雑誌にあった「スイカの煮汁」、「山芋納豆」と、ビタミン系サプリメントの効果だそうで、思わず雑誌を借り、さっそくスイカ、山芋、納豆を買い込んできました。結果が出てきたらこの場でお知らせします。再び取り上げられることがなかったら、それなりの結果だったとご理解ください。なぜか夫も参加するそうです。 西蘭みこと
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