>"
  


Vol.0058 「生活編」 〜女の定位置〜

地中海にちょっと遅めの夏休みに行ってきた友人がメールをくれました。「周りの白人に影響されてビキニをたくさん買って着ちゃった。それにアナタ、トップレスだから気持ちいいったらありゃしない♪」と。彼女は同い年。独身。子なし。今は特にラブラブ中なこともあって、どこから見てもおネエさん。彼の愛車マサラッティで香港中をカッ飛んでいます。

性格はいつも前向き。しかも5キロぐらいは軽〜〜く走ってしまうというフットワークの良さで、そのウエストは「キミのstomach(お腹)は世界一美しい」と、ナンパされた折り紙つきのくびれ方。ところが本人は「stomachだけ〜?」と、ちょっと憤慨のご様子。「1ヶ所だけだって世界一なら上等じゃない」と、すぐ現状に満足してしまう理想の低い友人としては、簡単に慰めてしまったりするのですが・・・。

「水着はビキニじゃなきゃダメよ」という、彼女のチカラ強いお言葉には、自分もこの夏、つくづくそれを痛感しただけに、大きくうなずくところがありました。「人間のカラダは老い以外に、別のかたちで老けていく」と、強く感じ入っているところです。あえて言えば、"あきらめ"でしょうか?30代も後半に入ってくると、「このトシでミニスカートなんて」「ピンクはもう無理」「叶姉妹はバケモノ」と、自分にあきらめを許したとたん、怒涛のように老け込んで、あっという間に実年齢を追い越す老いに直面することになりかねません。

別に年齢を重ねることを恥じているわけでも、実際の年より少しでも若く見せようという底の浅い考えでもありません。40歳の私が38歳に見えてもたいした意味はないでしょう。それよりも年齢にとらわれず、もっと普遍的に生きたのです。「もう○歳なんだから・・・」というあきらめを脱し、やりたいことをし、着たいものを着る。当たり前のようですが、いざそれを実行するとなると、明確な心意気と日頃からの切磋琢磨が必要です。

トップレスを迷わない友人は、好きで習ったタンゴを踊るためにナイスなボディで小粋なドレスを着こなさなくてはならず、そのためには5キロくらいいつでも走れなくてはならないのです。実際走ってみると最初はきつくても、カラダからストレスがどんどん抜けていくのがわかるでしょうし、走り終わった時の達成感もまた格別でしょう。その上、余分な脂肪を燃やして体重のコントロールができるのですから、結局すべてはお楽しみのプロセスとなります。ここで習いたかったタンゴをあきらめてしまっていれば、その後のことはすべてが手の届かないものになっていたことでしょう。もちろん世界一のstomachも・・。

別の友人がやっているシンガポールの生活情報サイト「アジアブレンド」で、「ビキニをすんなり受け入れられる条件とは、年齢かスタイルかはたまた、人の目を気にしない大らかな心持か、ビーチに行ってあらゆる人種の水着姿を見る度、考えさせられるのだが、答えは1つ、その人がいかに裸慣れしているかどうかに尽きる」と、いう一文を見つけた時は、うなずきまくりの、赤べこ状態でした。まったく、その通り!ドレスの背中でさえも「あ、この人、日頃から着慣れてるナ」っていうのが、一目でわかるものです。

多少肌の張りがなくなっても、皺があってもリゾートで出会う一番粋な人は、往々にして家族三代で来ているイタリア人のマダム、それもおばあさんに当たる人だったりします。巡り合う可能性はすごく少ない人たちですが、会えば例外なく、段違いに素敵なマダムたちです。特に数年前、モーリシャスで会った人は、昼はエレガントなビキニ、夜はかなりフォーマルなシルバーのドレスに髪をきちんと整え、孫にかこまれながら優雅に賑やかに、そして何より楽しそうに過ごしていて、とても印象に残っています。

"あきらめ"を追い払ったら、次は磐石な自分の定位置を見つけ出し、そこにどっかりと腰を落ち着けてしまいましょう。「オバサンとは呼ばせない」とか、「せめて30代前半に見えるように」など、ちまちました目標ではなく、イタリアン・マダムたちのように確固としたスタイルを作りあげてしまうのです。そうなればビキニでだろうが、ドレスでだろうが、いつでもどこでも、場慣れした貫禄すら漂うはず。ユーミンの「還暦までミニスカ!」宣言のように、年齢とは無縁なところで、これだけは譲れない・・・ということを作ってしまいましょう。そしてそれが決まったら、あとは継続あるのみ。

そうは言っても、今の私は走っても5キロ止まりで偉そうなことは言えません。でもニュージーランド移住後に是非挑戦してみたいマウンテンバイクのために、絶対に基礎体力を残しておこうと、できる範囲での密かなトレーニングを始めることにしました。タクシー三昧、超寝不足、空調100%の不健康な都会暮らしの中で、少しでも体力を落とさず、体重だけは多少落としながら、来るべき日に備えて自主トレ、開始っ!

***********************************************************************************

「マヨネーズ」 私は70年代の記憶がしっかりありますから、今流行りのファッションはメチャ懐かしいです。パンタロンと呼ばれていたフレアパンツをはき、ホットパンツにサボのサンダルもはいてました。あれから30年、また同じような格好をするなんて不思議です。でもホットパンツは子供ながらに好きだったので、この夏は夫に飽きられるくらい、丈が20センチもないようなパンツばかりはいて過ごしました。最初は腿の裏が普段は人目どころか自分の目にも触れないので、なんだかとても不似合いに見えたのですが、それでも一夏はき続けました。そのうち目が慣れ、日に焼け、人目にも空気にも触れているうちに多少は様になってきたのか、夫も何も言わなくなりました。移住の師と仰ぐレディーDも真冬のNZで泳ぎまくっていたそうですし、なんだか身の回りの露出度が上がってきている、今日この頃です。

西蘭みこと