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Vol.0063 「NZ・生活編」 〜中華前線〜

長い間、旅に出たら現地の物を食べること五指に入る楽しみの一つと考えてきましたが、結婚し子供までできるとなかなかそうも言ってられません。特に小さい子供は食に関して非常にコンサバですから、慣れない物はなかなか食べてくれません。まあ、ほんの数年前まではミルクだけで生きていたわけですから無理強いするのも気の毒で、結局、彼らの食べられるものと親の食べたいものとの接点を見出す努力をすることになります。

当然ながらニュージーランド旅行では洋食が多く、パン、パスタ、ピザ、パイ、フライドポテトなど、子供にとってもまんざら知らないものではないので、ついつい親の希望を通しがちになります。しかし、3、4歳の時にそれに付き合わされ、本来、大のご飯党である次男はいつも涙目でした。そこで途中から、モーテルで自炊する時以外はなるべくご飯が食べられるレストランを選び、タイ料理、イタリアンのリゾット、和食、韓国料理と、その時々で見つけられる限りのものを試してみることにしました。

その結果、どこの町にでもあるので、中華料理を食べる機会が多くなりました。一口に中華と言ってもさまざまで、観光バスが何台も乗りつけてくるような、かなり規模の大きい本格レストランから、看板を見る限り中華料理があるとはわからないほど、細々とやっているテイクアウェイまでいろいろでした。さんざん試した結果わかったことは以下の通り。

@味と店の規模には相関関係がない(立派な店だからと言って必ずしも美味しいとは限らず、この逆もしかり)、A中華一本で絞りこんでいるところの方が美味しい(タイ風、ベトナム風と何でもやっているところは往々にしてハズレ)、B注文した時に"All together"と言っておくとできた順にどんどん持ってきてくれるが、言わないとコース料理として、前菜→魚→肉…という展開になりなかなか進まない、Cメニューにあっても凝ったものはパスし、簡単なものを頼むと失敗しない。

Bを知らなかったばかりにロトルアでは大失敗をしました。かなり遅い時間に混んだ店に行ったので、簡単にできそうなものばかり注文したにもかかわらず、子供用のチャーハンなどが待てど暮らせど出てこなくて、とうとう2時間がかりの夕食となってしまいました。お腹は空くわ、周りはみんな食べてるわで、子供は完全に泣きモード。二人でほとんどおかずなしの空飯を食べ、無理やりお腹をいっぱいにした頃、直径30センチはありそうな大皿にド〜ンとチャーハンが・・・。あれにはこちらも泣きそうでした。でもお陰で、何度か急かしたお店の人に「"All together"って言われなかったから」と教えられ、初めて納得。以来どこへ行っても、まず"All together"、それから注文に入ります。

Aは日本人以外がやっている和食レストランがなかなかアヤシイ雰囲気なのと同様で、中国人が作るトムヤムクンやナシゴレンはど〜もハズレでした。「ニュージーランド人にはわからないだろう」という甘い読みが、店全体の印象をユルくしてしまっているようです。Cは、やはり香港から行っていると「?」というようなものに出くわすこともあり、チャーハン、焼きそば、炒め物、スープ、茹で野菜のオイスターがけなど、基本料理に留めた方が最終的に正解でした。

最後に。日本人がよくやるように一人一品ずつチャーハン、焼きそばを注文していくと、だいたい失敗します。往々にして、ご飯2合分か麺玉4個分はあるのではないかと思われる大皿で来てしまうからです。近くに日本人テーブルがあると、「げっッ!デッカ〜い。どうやって食えっていうの?」、「さっすがニュージーランド。何でも大きいですねェ〜」と、不満やら驚嘆の声が聞こえてくることもあります。

実は、これはNZに限った話ではないのです。中華料理では円卓を囲んで食べるようなレストランの場合、さんざんみんなでお料理を食べた後、チャーハンか焼きそばで〆るのが普通です。ですからあの大皿は料理と同様に、みんなで分け合って食べるもので、決して一人前ではありません。そもそも中華料理に一人前という発想はなく、大人数で各人が食べたいものを食べたいだけお皿にとって食べるものなのです。レストランというより定食屋に近い場所でなら、日本のラーメン屋やカレー屋のように、黙っていても最初から一人分が出てきます。しかし、NZでその手の店を見かけるのはオークランドなど大都会かテイクアウェイに限られているので、普通の中華レストランでは是非ご注意を!さもないと延々と炭水化物ばかり食べる羽目に。それこそ涙目? (ナゼか、つづく)。

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「マヨネーズ」 最近のメルマガ、どういうわけかシリーズ物が増えてきました。書いている本人もナゼかわからないので深い理由はありません。すぐには続かないかもしれないし、そのまま立ち消えになるかもしれないという危うい企画ですが、しばしお付き合い下さい。

所属する会員制クラブがニュージーランドからシェフを招いてニュージーランド・ナイトを開催していたので早速行ってきました。やって来たのはヴィダル・エステート・ワイナリーというところのエグゼクティブ・シェフのキリー・ハワードさんという若い女性。運ばれてくる料理はどれも盛り付けに一工夫あるのに見た目に走っていないところが○で、口を開いたたくさんのムール貝に湯がきトマトが散らしてあった前菜など、木花のような硬柔の使い分けが見事でした。スープの中の真っ白にプックリ膨らんだオイスターも意外性の勝利!メインのラムも肉の厚さ柔らかさ、焼き加減、ソースとどれもバッチリ。夫の前菜はきれいに外巻きになったイカが、軽く焼いたスイカのベッドの上に乗ったもので、色合いといい、火を通して甘みを増したスイカとの相性といい、まさに見て好し食べて好し♪

西蘭みこと