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Vol.0103 「生活編」 〜母校を遠く離れて〜

初めまして。84年卒の文学部の者です。唐突ですが、私は校友会に借りがあります。在学中に校友会の奨学金40万円(当時の1年分の学費です)を、小論文一本書いただけでいただいたのです。学生課の掲示板でお知らせを拝見し、翌日が提出締め切り日だったので慌てて原稿用紙を買って帰り、一晩で書き上げました。正直申し上げて、割のいいアルバイト感覚でした。「これで40万ならラッキー♪」というのが本音でした。そうしたら一次予選通過。面接に臨んで二次も・・・!あれよあれよという間に受賞決定で、いきなり封筒に入った一万円札40枚を渡されたのです。後にも先にもあんなにオイシイ"お仕事"はしたことがありません。

しかし、そのお金には「いつか母校の名を世に知らしめるような可能性を秘めた人に贈る」という、校友会の強い想いがついてきました。それが良くわかっていただけに簡単に手をつけられず、1年近く銀行で眠らせた後、お金は海を渡り卒業した私と一緒に台湾へ向かいました。これは小論文で述べていた通りです。その後のプラザ合意以降の猛烈な円高の中、お金はますます価値を高め、2年後には残っていた一部が再び海を渡ってフランスのパリにまで行きました。こうして3年間の留学時代、大変有意義に使わせていただいたことを、約20年ぶりにご報告させていただきます。

それでも私の中では"校友会には借りがある"という気持ちがいまだにくすぶっています。「母校の名を世に知らしめるような」一角の人間になっていないのですから仕方ないのかもしれません。同時に母校への敬愛の気持ちもあって、その後暮らしたシンガポールや現在暮らしている香港でも長らくOB・OG会の世話係を勤めながら、気持ちの上では母校と着かず離れず暮らしております。今までの経由はほぼ小論文通りだったはずですが、ここから話がコロリと変わり、当時は想像もつかなかったような展開に入って参りました。人生の後半戦の幕が開くところで自分でもわくわくしております。

どこにあっても、いつになってもあの時の校友会の恩義を忘れず、母校の名に恥じないようにやっていければと思っています。何年かたってここで皆さんにご報告できるような、本当に校友会への大きな借りが返せるようなことができたら・・と思いつつ、日々つつがなく、少しずつでも夢に向かって行ってみようと思っております。卒業生、在学生、教職員の皆様におかれましても、どうかお元気でご活躍ください。人生のいろいろな場所で、予期せずお目にかかれることを大変楽しみにしております。人生の第二章への準備中の毎日をつづっております。良かったらのぞいて見てください。
http://www50.tok2.com/home/nzbz/

こんな書き込みを母校の大学の掲示板にしたのは去年の9月でした。普段、そんなホームページに行ったこともなく、たまたまニュージーランド移住申請に必要になる卒業証明書を取り寄せようと連絡先を探しに行ったのです。そうしたら掲示板を見つけ、なぜか突然長い長い書き込みをしてしまいました。書いてみてから改めて、自分の母校への想いに気がつきました。在籍中は特に愛校心があるというわけでもなく、淡々と過ごしていたのですが卒業してからはとても懐かしく思います。校内の売店で売っていた学校のロゴ入りタオルやマグカップ、トレーナーなどを見ては、「いったい誰がこんなもの買うんだろう?」と在学中は冷ややかでしたが、今でははっきりわかります。あれは卒業生が買うのです。

日本の3月は別れの季節です。でもそれは旅立ちの季節でもあり、長い目で見ると始まりの季節かもしれません。卒業することで初めて「卒業生」という終わりのないタイトルを手に入れ、遠いところから安心して母校を想うことができます。私にとって大学卒業は日本での記憶の一番最後でもあるので、ことの外感慨深いのかもしれません。卒業に必要な単位は既にとっていたので、自分の興味で書いた卒論を提出した段階でおさらばすることも可能でしたが、なんとなく卒業式に出てみたく、それから2ヶ月アルバイトをしながら3月中旬の卒業式を待っていました。式典そのものは特に感動のないものでしたが、16年間の長い学生生活の終わり、これで心置きなく日本を後にできると思うとホッとしました。

そして式の1週間後には台湾へ向かいました。表向きには「1、2年の留学」ということで、実際、台湾には2年しかいませんでしたが、当時からその後のフランス、香港、シンガポールと、今まで続く、日本へ戻ることはないであろう自分の未来を心の中に思い描いていました。そして今度はNZへ。計13年以上暮らし、すっかり住み慣れた香港ですが、私の中での"次なる場所"への想いは絶ち難く、生涯をかけた"約束の土地"探しが今でも続いているのです。そしてその道すがら、母校の名に報いるよう、あの旅立ちの日の晴れやかな想いを忘れずにやって行こうと思います。今月、卒業される方、おめでとうございます。新しい人生に幸あれ。

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「マヨネーズ」 香港で3月と言えば、セブンスでしょう!香港在住の方だったら、是非今月末の28〜30日に開催される、「香港ラグビー・セブンス」にお出かけ下さい!これは7人制ラグビーの国際大会で、足の速さが物を言うスピード勝負のテンポのいい試合が思いっきり楽しめます。ラグビーの"ラ"の字とも縁がなくても、きっと満喫できることでしょう。「香港ってこんなに白人いたっけ?」と思うほど、香港最大の競技場、香港スタジアムの7割近くが白人で埋まるのも圧巻です。この辺の詳しいことは去年のメルマガ〜初夏を告げる渡り鳥〜(3月22日)、〜雨の中の「香港セブンス」〜(4月9日)、〜全員参加型「香港セブンス」観戦〜(4月15日)の3連発で書いてますので、よかったらホームページの方でご覧下さい。

西蘭みこと