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Vol.0198 「NZ編」 〜食はニュージーランドにあり〜

「ニュージーランドからの帰国報告したいのでランチでもどう?」 友人からそんなメールが入り、約束したカフェに出かけていくと、遠目にもすっかりリラックスした彼女が待っていました。「お帰り〜♪」の一言に、「良かったわよ〜。なんであなたが移住したがってるのか、よ〜くわかったわ。」とのっけからウレシいお言葉。「そう?あなたならあの良さをわかってくれると思ってたわ。」

友人は私と同い年。年上のご主人はイギリス人で、近い将来のセミリタイアに向け、目下リタイア先候補地を物色中という、子育て真っ盛りの私にとっては逆立ちしても真似できない優雅で大人な暮らしを満喫している人。去年は第一候補だったキプロス島の下見に行ってました。私には「キプロスって教科書に出てくるタコの絵のついた壷が発掘される所?あれはクレタ島?どっちもギリシャ?」ぐらいな知識しかありませんでした。しかし戻った彼女によると、「海はきれいだけど、あまりにも何もなくて住むのには向いてない。」ということで、あっさりボツ。

次の候補がニュージーランドでした。どこに行っても友人のいる彼ら、北島・南島双方を2週間以上クルマで回って友人たちを訪ねては、情報を仕入れる計画でした。季節は夏。どこに行っても好印象は間違いないでしょうが、気候や自然といった誰の目にも明らかに好ましいもの以外にも、彼女がNZの良さを見つけてくれたら、そして移住してからもずっと身近なお付き合いが続けられたら・・と多大な期待を込めて送り出しました。

二人でサンドイッチをパクつきながらの帰国報告第一声は、「食事がおいしかった〜!」というちょっと意外なもの。何でも北島のコロマンデールでオーストラリアで長年シェフをしていたというオーナーのB&B(ベッド&ブレックファスト)に宿泊したとかで、写真で見る限りそれはそれは豪華なお家に豪勢なお食事。釣りたての魚を下ろしてもらったり、クリスマスディナーでもてなされたりとグルメ三昧。NZは一般的に食にうるさいとは言いかねるイギリス系移民が中心の国。近年のレベルアップには目を見張るものがあるものの、食の水準はそれほど高いとは思われていないので、ちょっと予想外な反応でした。

「たまたまいいB&Bに泊まったんじゃない?」と言うと、「そんなことないわ。どこで食べてもホントにおいしかったわよ。」と、更に念押し。ちなみに彼女ら夫妻は子なしの上に、お付き合いはどう見ても庶民よりワンランクもツーラククも上なセレブ系の人たちばかり。香港では普段から5つ星ホテルのメインダイニングで飽きるほどフルコースを食べている、おいしいものには事欠かない人たち。しかも彼女の料理の腕前は、和洋中を問わず相当なもの。その彼女をして、「あんなにおいしい西洋料理は食べたことないわ。すっかり西洋料理に開眼しちゃって、お料理の本まで買ってきちゃった♪」と言わしめるNZ料理って?

彼女の話をよくよく聞いてみると、材料の鮮度がいいのはもちろんのこと、洗練されたテイストや盛り付け、テーブルセッティングから果てはインテリア、大きな窓越しに眺める外の景色まで、食を愉しむすべての要素が揃っている、ということなのです。そうなると、外を眺めてもせいぜい大型貨物船や通勤用の高速艇が行き交うビクトリア・ハーバーか、下手をすれば隣のビルしか見えない香港の高級ホテルは圧倒的に分が悪くなります。

実は私にも似たような経験があります。今までの生涯で食べた最もおいしい西洋料理は、11年前にNZ南島の誰も来ないような小さな村で食べた山鳥でした。それはまた最も印象に残る食事でもあり、B&Bのオーナー夫妻との会話も含め、まるで今日の私達の移住計画を啓示するかのような不思議な午後のひと時でした。あの食事も、夫妻のさり気ないもてなしと示唆に富んだ会話、何もないところでの精一杯のお料理、元は村でたった一軒の病院だったという歴史を感じさせる古い建物、広い庭、鳥のさえずりしか聞こえないような静寂・・という状況が揃ってこそ忘れえぬものになったのは間違いありません。

おいしいものはどこにでもあります。特にくつろいでいる旅先では往々にして食が進むものです。しかし、いつもは「お腹が空いたから」、「時間になったから」と、何の思い入れもなく食事をすることがほとんどではないでしょうか? だからこそ一口ごとに噛み締め、食べ終わってしまうのが惜しくなるようなお料理に巡り会えることは人生でも指折りの愉しみです。それは単においしいだけでなく、身も心も喜ぶものであり、後になっても(それこそ11年経っても!)喜びが記憶されるものなのです。偶然ながら、友人も私も人生で最高に近い、いつまでも感謝と感動が続く特別な食事をNZで知りました。

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「マヨネーズ」 NZの食と言えば、「掲示板」でもすっかりおなじみのちっちさんより、こんなメールをいただきました。「オークランドって、日本よりも中華系の食材が手に入りやすいのは確かですね。みことサン達も移民してきても今と変わらない食生活がKeepできると思いますよ〜。近所のチャイニーズスーパーマーケット(こちらでは略して「チャイマ」と呼んでいます)は野菜・お惣菜・日用品のほかに、お魚やお肉なども売ってて便利〜♪ このあたりはチャイナタウンみたいですよ。看板も漢字だらけだし(^-^*) 早く案内したいな〜☆」とのことで、なんとも心強〜いメッセージ。

最寄の「チャイマ」まで徒歩5分とか。「香港の住宅街に住んでる私達より便利かも」と思わず(笑)。本当に早くNZの「超市」(中国語でスーパーマーケットのこと)に案内されたいで〜す☆

西蘭みこと