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Vol.0226 「NZ・生活編」 〜サイバー・アリス〜

「ご存知でした?ニュージーランドって中国語では確か"新西蘭"のはず。もしそうなら西蘭さんたちの移住計画って運命なのかも」というメールを、ホームページ(HP)立ち上げ早々にいただいたことがありました。メールの主にはすぐにお返事しましたが、私達の移住が運命なのではなく、移住成就の願掛け代わりにそう名乗ることにしたまでで、"西蘭"は完全なハンドルネーム(HN)です。

メールの通り、"西蘭"は"新西蘭"から取りました。中国語でも"新"はズバリ"新しい= New"、"西蘭"は"Zealand"の音訳で、北京語(いわゆる普通語)では"シーラン"、広東語では"サイラン"と発音します。この場合、"新"は意訳で"西蘭"は音訳になりますが、全部音訳で"紐西蘭"という訳語もあります。北京語では"ニウシーラン"と読み、音としてはかなりイケてます(笑) ちなみに"紐育"は"ニューユエ"でニューヨークのことです。ここまで来るとかなり駄洒落に近いです。
(←こういうことでした;´▽`A )

ついでに言えば、"みこと"もHNです。音だけ聞けば、日本武尊(ヤマトタケルノミコト)とか神様系の名前にも聞こえ、「宗教関係者ですか?」というご質問が寄せられたこともありましたが、これも元は中国語から来ています。漢字を充てるとすれば"美琴"で、北京語では"メイチン"と読みます。日本語では、"由美"とか"久美"など最後に"美"の付く名前が多いですが、中国語では"美齢"など先に来ることが多いのです。

"琴"は日本のお琴のみならず、中国語では弦楽器全体を指します。バイオリンは"小提琴"で、ダリの傑作「バイオリン」が端的に示しているように、私にとってもバイオリンは女体というより女性そのもの象徴で、非常に艶かしく有機的に見えます。そこで"美琴"という中国語の名前を編み出し、それを日本語読みして"みこと"にしました。しかし、これは私のために作った名前ではなく、「万が一女の子が生まれたらこの名前にしよう」と、長男出産前今から10年以上前に用意していたものでした。ところが、授かったのは男の子ばかりで"美琴"の出番はありませんでした。

HP立ち上げ時に自分のHNがまったく思い浮かばずにいた際、ふと何年も忘れていたこの名前を思い出し、リサイクルすることにしました。夫の"タカ"は彼の本当のニックネームで、息子たちの"温"(おん)と"善"(ぜん)は本名です。メルマガの編集後記「マヨネーズ」は前にもお話してますが、字も音もきれいな"西蘭花"(シーランホァ)が中国語では"ブロッコリー"のことなので、それに合うよう「マヨネーズ」としました。これらがHNを巡る裏事情のすべてです。中国語の素養がある方や、NZ在住の一部の方にはバラバレだったかもしれませんね。

ただしHN以外のことは、すべて真実です。話の中の登場人物のプライバシー保護のために、ご本人が特定できないよう多少デフォルメしたりはしていますが、話の本筋とは無関係な部分でのことで、内容は限りなくそのままに書いているつもりです。「そこまでするなら、どうしてHNが必要なの?」ということにもなりましょうが、インターネットのサイバーワールドに入っていく一種の"通行手形"だと割り切っていました。もちろん、私達とお付き合いのある個人がネット上で特定されることも好みませんでした。

いざHNを名乗ってみるや、意外なことを思い出しました。それは私が子供のころ、自分の名前を嫌っていたということです。旧姓はごく平凡な名前ながら、濁音あり吃音ありで、"いわさき ちひろ"といった清音だけの名前に心底憧れていました。しかし、容姿と同じで親から授かったもの、簡単に変えられるわけもなく、そのうち清音への憧れは封じられ、忘れられてしまいました。結婚後の新姓は非常にありふれた名前ながら、清音だけの苗字のせいか、ことのほか気に入っています。

親しい女友達のほとんどはメールや手紙の最後に、"ゆき"だの"由美子"だのと苗字ではなく名前で署名してきますが、私は親への手紙以外、ほとんど苗字を使っています。それを深く意識したことはなかったのですが、HNを使い始めてその違いに気付きました。"みこと"と署名することには何のためらいも感じないのです。その時、子供の頃の正直な気持ちが蘇ってきました。けっきょく私は30歳目前で結婚を機に好きな苗字を、40歳目前でネットを通じて好きな名前を手に入れたのでした。

パソコンの前に座って思いつくままに文章を繰り出し始めれば、私は"西蘭みこと"になります。そこに子供が「ママ〜、あのさ〜」とでも呼びに来れば、一瞬にして"清音吃子"になります。まるで鏡の代わりにパソコンのスクリーンを行ったり来たりするサイバーワールドのアリスさながらです。こんなに簡単に日常と、非日常と言うほどでもない"やや離れた場所"を行ったり来たりできるなど、HNを持つまでは考えてもみませんでした。今ではこのハレとケの中間あたりの居場所がとても気に入り、そこへ誘(いざな)ってくれる二つ目の名前に愛着を感じています。あと一週間でサイバー・アリスはリアルなNZの地に降り立ちます。

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「マヨネーズ」 名前に関しては、「何とお読みするのですか?」、「変わったお名前ですね」、「どうして"新西蘭"にしなかったのですか?」など、さまざまなコメントをいただいていました。今回のメルマガでこの辺のモヤモヤをすっきりさせたつもりですが、いかがでしたでしょう? 「えぇ?本名じゃなかったの?」と余計モヤモヤさせてしまったかもしれませんね。いずれにしても中身は一緒ですので(笑)、今後ともよろしくお願いします♪ 

西蘭みこと

   
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