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Vol.006 ■ プリサントポイント駅の日曜日

「あ、イケる・・・」「そこだ!」・・・・。8才になったばかりの長男が駅のゲームコーナーでゲームをやっている10才くらいのニュージーランド人の男の子の肩越しに、盛んに英語で声をかけています。さっきまで自分でも遊んでいたので少しはルールがわかるらしく、年上の子に相手に楽しそうです。

それを少し離れたところから見ていた私には、男の子の背中が固まっているのがよくわかりました。「うるさいな〜」というより、やたらに人懐っこい東洋人に困っているという感じです。それはすぐ隣に立っている彼の父親も同じで、二人で息子に背を向けたままボソボソと言葉を交わしています。

「あ〜〜〜!惜しかったねぇ」。なのに息子は全く無頓着。彼は香港でイギリス系のインターナショナル・スクールに通っているので学校ではすべて英語です。もちろんネーティブのように上手くは話せませんが、とりあえず英語だけで学校生活を送っているので、多少のことには不便を感じずにやっているようです。

しかし、ティマルから少し内陸に入った小さな町、プリサントポイントでは日曜日に半日いても一度も東洋人の姿を見かけませんでした。彼らにとってこの見知らぬ日本人の人懐っこさはかなり戸惑うものだったようです。結局、父子は最後まで息子の方を見ないで出て行きました。それでも息子は「バイバ〜イ」と二人を見送り、再びゲームに向かいました。

これを「無視された」、挙句には「人種差別だ」と感じる人もいるかもしれませんし、実際そうだったかもしれません。でも、彼らの背中にはどことなく申し訳なさそうなところが感じられたのです。私はその背中にむしろ、「こういう人たちとだったら、きっと友達になれる」という期待を見出していました。

どこに行っても鼻持ちならない人はいます。息子の学校にも大英帝国を背負っているような親子もいます。でも彼はそんな中でまれていて、話しかけても相手が反応しないぐらいのことはへっちゃらなのかもしれません。もしかしたら、さっきの父子にも確信犯的に話しかけていたのかも・・・。そう思うと、ゲームに興じる長男が旅行前より一回り大きく見えました。

西蘭みこと