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Vol.015 ■ 男もすなるビーズ

三度の食事より好きなビーズ。旅行中といえでも行く先々でビーズ・ショップがないかキョロキョロしてしまいます。ニュージーランドでもお店を見つけるとつい長居してしまうのですが、そんな時、お客さんの中に男の人を見つけるとなんとなく嬉しくなります。日本のショップはカップルで来て男の人が所在なげに待っている小売店か、男人禁制かと思われるほど女性のみになってしまう問屋までさまざまですが、いずれにしても自分の創作のために来ているらしい男性を見かけることは極めてまれです。

ところがキウイとなると事情は違うようです。やはり圧倒的に女性が多いとは言え、かなり頻繁に男性を見かけます。彼らもビーズトレーと言われるネックレス型に溝のついた専用トレーを前に真剣そのもの。いろいろなビーズを並べ、気に入らなければ別のビーズに入れ替え、サーファー風、アート風などせっせとメンズ・アクセ(サリー)作りに励んでいます。大体が一人で来ていて、女性が友達やボーイフレンドと連れ立っておしゃべりしながら楽しそうにやっているのとは対象的です。

ところが今年2月にクイーンズタウンのこぢんまりとしたショップで見かけたのは、珍しく男性二人連れでした。彼らは店員の女性を交えて冗談を言い合いながらトレーに向かっています。チラリと見えた感じでは女性物を作っていたので、「店専属のデザイナーなんだろうか?」と思いながら、こちらも時間を忘れてビーズ選びに没頭していました。

かなり経ってレジに向かおうとすると、今しも二人がお会計をしているところでした。ただの常連客だったようです。支払いを済ませなごやかに挨拶を交わし、店を出て行く二人。その時店員が突然、「がんばってね、バレンタインデー!」と叫びました。照れているのか二人のうち一人が振り返りもせずに手を振っています。二人が作っていたのはどうやらガールフレンドへのプレゼントだったのです。Wow!出来合いのものより、手作りアクセなんてもらったら絶対ウレシイ(はず)!女性の手料理のポイントが高いのと同じこと。「やるなぁ、キウイ。これなら必勝間違いなし!」

西蘭みこと