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Vol.017 ■ 世界の健康優良児

「各国による世界同時不況回避への懸命の努力が・・・」などという、見出しが連日のように新聞に載る昨今、ニュージーランドで「これから景気が悪くなる」と考えているのは5人のうち1人いるか、いないかなのだそうです。裏を返せば、残りの4人は「現状維持」か「もっと良くなる」と考えていることになり、いまどきナント景気のいい話!調査結果を前に思わず腕組みしてしまいました。

これは大手マーケティング会社がアジア太平洋地域の13ヶ国・地域のインターネット利用者8,000人を対象に、7月中旬に行った調査の結果です。全体では33%が「景気が悪くなる」と回答しているにもかかわらず、景気悪化を懸念しているキウイはたったの16%で、13ヶ国中最低でした。いつもは強気なオージーでさえ、20%が先行きを心配しているというのに・・・。

この自信の裏づけは雇用の安定から来ているようです。「雇用不安がある」という回答はアジア全体で27%、つまり4人に1人以上がリストラを心配しているというのに、キウイの場合はたったの17%で、これも5人に1人いるかいないか。私が暮らす香港では5人に2人がリストラに怯えながら生活しているという結果が出ています。

その結果、家や車、株などの購入や海外旅行等の大型出費を先延ばしにしたキウイは3人に1人のみで、残りの2人は計画通り家を買ったり旅行に出たりし、景気に左右されずにマイペースで暮らしています。それがアジアの平均では2人に1人となり、香港に至っては3人に2人までが財布の紐をギューっと堅くし、「買わない、行かない」で引きこもっています。

グローバル化が進んで世界が一つになった一方、アメリカがくしゃみをすれば風邪を引く国が多数出て、今のようにアメリカ自身が風邪をこじらせてしまえば南米などを先頭にバタバタと肺炎で倒れる国が出てきているというのに、キウイにとってそんな流行病はどこ吹く風。21歳のニュージーランド人が腕立て伏せで世界新記録を樹立してギネスブック入りしたそうですが、経済でもキウイは世界の健康優良児のようです。

西蘭みこと