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Vol.022 ■ 既知との遭遇

「あれ?この人たち・・・」。スポーツクラブのキッズルームで子供たちを遊ばせていると、ベビーカーを押して若い白人のお父さん二人がニコニコ話しながら入ってきました。彼らを見たとたん、「キウイかな?」と思いました。もちろん、西洋人の国籍を見抜くのは至難の技。でも、なんとなくそう思いました。

多分、赤ちゃん連れでベビーカーまで押して来たから典型的なキウイハズバンドに見えたのかもしれません。私はかなり離れたところにいたので彼らの姿は見えても声までは聞こえず、英語を話しているのかさえもわかりませんでした。ベビーカーから降ろされた赤ちゃんはどちらも1歳ちょっとらしく、オムツがくっついたお尻をフリフリさせて歩く、掛け値なしに可愛い盛り。

二人がヨタヨタとシコ踏んじゃった状態で左右に揺れながらベビーウォークに出始めると、な〜〜んとパパたち二人はいきなりほふく前進スタイルに。相変わらずニコニコ話しながら、ユラユラしている赤ちゃんの後ろを腹ばいになってくっついて行くではないですか!「この人たち、絶対そうだ!」私は確信しました。ここで数限りないパパたちを見てきましたが、大多数は新聞を持ち込んでの監視役です。たまに相手役をしていたりもしますがごく少数派。なのにこの二人ときたら・・・!

しばらくするとママたちがやって来て、交替の時間のようです。パパたちが出て行ってしまい、ママが盛んに赤ちゃんのお相手をしています。今度はかなり私の近くまで来たので彼女たちの会話が聞こえてきました。その時一人が、「上の階でお茶しない?」と言うと、もう一人が「OK。先行ってて、オムツ取り替えてくわ」と、言ったのです。

それを聞いて「やっぱり!」と、私は内心Vサイン♪「上の階」の" upstaires " と「先行ってて」の"You go first"のfirstがともに、"ステアーズ"ではなく"スティアーズ"、"ファースト"ではなく"フィースト"となる独特の発音。コレってキウイの友達共通の発音(というか訛り)なのです。"learn"も"ラーン"ではなく限りなく"レーン"に聞こえるアレ!誰ともその喜びを分かち合えないまま、一人密かにほくそえんだ午後。

西蘭みこと