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Vol.026 ■ LOVE & PEACE その2

11月6日、ウェリントンのセント・ポール教会でバリ爆破テロの犠牲者への追悼記念式典が開かれました。クラーク首相も出席し、「ニュージーランド・へラルド」(インターネット版)で関連記事を読みながら、「死者3名のニュージーランドにしては、随分大掛りなものだなぁ」と感心しました。

ところが、よくよく読んでみると"The service for the 184 people -- including three New Zealanders"とあり、キウイの犠牲者のためだけではなく、亡くなった184名すべての人に対する追悼式だったのです!最大の犠牲者を出してしまったのが隣国オーストラリアだったことが、首相までも参加する大規模な式典になった理由の一つだったかもしれませんが、98%が外国人のためとなる弔いに、何百人もが集うことに心を動かされました。

他にも国家元首が参加するような規模の追悼式典を開いた国があったのかどうか知りたくて、ネットで検索してみましたが。いくつかのキーワードで試してみても引っかかってくるのは、オーストラリア、ニュージーランド、イギリスの三ヶ国ぐらいでした(イギリスはニュージーランドより遥かに多くの犠牲者を出しています)。

ただし各国の元首は追悼声明を出しており、ブッシュ米大統領は「無実の命を顧みない、自由世界を身動きできなくさせる敵に対しともに立ち向かおう。(中略) 平和を守り世界をより自由にすべくテロと戦おう」(10月19日のオーストラリアへの追悼声明より)と呼びかけています。

しかし、私はクラーク首相の「悪をもってしても挫くことができなかったのは、例えそれが爆破後の悲劇的に短い一瞬であったとしても、生き残った人々の尊厳と勇気です。(中略)あの(爆破の)時点まであった成功、笑い声、生きる喜びは決して失われることはありません」という追悼の言葉がより心に響きました。

首相としてよりも、この不幸を悼む残された者の共通の声として、犠牲者を称え、その魂を慰め、人類全体へ毅然と呼びかける姿勢は、「平和のために戦う」という聞こえは良くとも、ややもすれば新たな人殺しを容認する発言よりも、静かながらも深く共感を呼ぶのではないでしょうか。戦い以外の解決を探るためにも、心からLOVE & PEACE。

西蘭みこと