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Vol.035 ■ 敷居の向こう

オークランドのレミュエラ通りのファーマシーに入ると、ラベンダーとティーツリーのエセンシャル・オイルやクリームがたくさんディスプレーしてありました。本当はクリームを作るためのビーワックスを捜しに入ったのですが、ラベンダーの薄紫とティーツリーのグリーンという組み合わせがとても好きな私は、見た目の色に一発で参ってしまい、そこに釘付けになってしまいました。

テスターで試してから、いくつかまとめてレジに持って行くと、「このクリーム良さそうよねぇ?」と、レジの女性がとっても気さくな感じで話しかけてきました。「お店の人だったら、例え使ってなくても"良さそう"じゃなくて"いいですよ"と断言すべきなんじゃない?」と、思いながらも、彼女の率直さにかえって好感が持てました。「そうね。容器も可愛いし」と、こちらもつられて応えると、「匂いがきつすぎないし、この石けんは本物のラベンダーが着いてるしねぇ〜」と、「どっちがお客?」と思われるような会話が続きました。彼女が「これはいいです」と紋切り型に言わなかったからこそ、女同士の気軽なおしゃべりにつながったのです。

ニュージーランドではこんなことが本当に良くあります。ビーズ屋さんでビーズを大量に買ったら「こんなに買ってどうするの?」と、これ以上はない単刀直入さで聞かれ、思わずこちらも「ビーズアクセを作るんですけど・・」と、ありのままに言い、二人でなんとなく笑ってしまったこともありました。この敷居の低さ、アジア人同士のような人懐っこさは、接してみるたびに意外ながらも心地いいものです。「一応、白人なんじゃないの?あなたたち?」と思ってしまうことすらあります。

支払いを済ませ、和やかに挨拶をして店を出ようとすると、ヘア止めなどをたくさんぶら下げた長さ2メートルくらいの陳列バーが外れて、出入口近くの床に落ちているではないですか!下げていた商品も回りに散乱しています。すぐにレジに取って返し「大変!バーが落っこちてる!」、と言ってみてから、「こんな英語で通じるのか?」と内心不安に思うと、「あぁ、あれね。朝から整理してるんだけど、なかなか片付かなくて。いいの、いいの。そのままにしといて〜」と、いうお答え。そうでなければ「手伝ってぇ〜」ってこと?やっぱりいいなぁ、このノリ♪

西蘭みこと